BSアンテナに書いてある“右旋”とか“左旋”ってどういうこと?

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家電量販店などで販売されているBSアンテナを見ると、“右旋”や“左旋対応”などといった記述が見られます。

衛星から送信されてくるテレビ電波の種類のことなんですが。。。

事前の知識もなくいきなり書かれても何のことかさっぱりわかりませんよね。

「こんな専門用語を使用されてもなぁ」って思うでしょうが、実際に工事をする業者向けのアピールをそのまま一般消費者に使用しているんでしょうか。

電気店の店員さんに聞いても、正確な回答ができる人ってどのくらいいるんでしょうね。

アンテナ関連の機器は総じてこういう傾向があるので、販売店の店員さん泣かせだなあといつも思ってます。

今回はこの「右旋」と「左旋」について説明していきます。

BSアンテナの電波は円を描いて飛んでくる

実は、BSデジタル放送の電波は円を描くような形状で送信されています。

この電波のことを円偏波といいます。

このことをまず知っていないことには話が通じません。

厳密には110°CSデジタル放送の電波もそうですが、一般的なBSアンテナと呼ばれるアンテナで受信する電波は、図のように衛星から円を描いて飛んでくるんですね。

皆さん電波といえば波の形をイメージするんじゃないかと思います。

地上デジタル放送やAMやFMラジオなどの電波は、その通り波のような形状で電波が飛んでくるんですが、BS放送は違うんですね。

ですから、“右旋”は右回りの電波、“左旋”は左回りの電波ということになります。

ちなみに、スカパー!プレミアム放送CSデジタル放送は、「円」ではなくて「波」。

電波の形状が同じだと混信してしまう恐れがあるので、わざと形状を変えてクリアな電波になるよう工夫しているんですね。

右回りの電波って?

業界では、電波のことを偏波ということがあります。

ですから、円を描いてる電波は円偏波。

商品への記載も、「右旋偏波」や「左旋偏波」と書いてあることがありますね。

じゃあ、右旋偏波と左旋偏波の違いは何か。

右旋偏波(右回りの電波)は、簡単に言うと今まで観ることができている従来のBSや110°CSデジタル放送だと思ってください。

NHKや民放各社の無料で放送されているBSデジタル放送や、110°CS放送で視聴できるスカパー!などの有料放送もこれに当たります。

ですから、皆さんが良く知っているBS放送は全て“右旋”で飛んできているということですね。

じゃあ左回りの電波って何?

では、“左旋偏波”とは何なのか?

これは、2018年12月からスタートした4K8K衛星放送を指します。

4K8K衛星放送は、BSや110CSデジタル放送で送信されますが、基本的には今までの放送にチャンネルが追加される形で送信されています。

NHKだけじゃなくて民放各社も4K放送に参入してきましたから、チャンネル数が一気に増えて、今までの右回りの電波だけでは容量が足りなくなってしまったんです。

電波は周波数というもので表されますが、その周波数が足りなくなってしまったので、左回りの電波を作って補ってる感じ。

電波の混信を防ぐ意味もあって、逆の左回りの電波を使って送信をするんですね。

ですから、“左旋偏波対応”などと書かれたBSアンテナは、すなわち4K8K衛星放送対応ということになります。

まとめ

右回りの電波と左回りの電波に配置される放送局の表を添付しておきます。

出典:一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)

先ほどはわかりやすく説明する上で、右回りは今までの放送で左回りが4K8K放送という表現をしましたが、細かく言うと、今までの右回り電波でも一部4K衛星放送は放送されています。

表の青い部分が右旋偏波で、赤い部分が左旋偏波の放送事業者です。

したがって、右旋偏波にしか対応していないBSアンテナであったとしても、一部のチャンネルは受信ができるということになります。

“右旋”や“左旋”なんていう表現はなしにして、新しいアンテナは“4K8K対応”とだけ書けばいいとも思うんですが、チャンネルが混ざってしまうので“右旋は既存放送”“左旋は4K8K放送”という大雑把な括りが難しいんでしょう。

メーカーも細かく突っ込まれても困るので、なかなか表現が大変なんでしょうね。

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