ケーブルテレビや共同アンテナ設備でテレビを受信している家屋の壁などに付いている保安器という機器。
このような機器ですね。
マンションやビルのテレビ盤の中にも付いている場合がありますね。
通常のアンテナ受信をしている家屋には殆ど付いていないんですが、この保安器には一体どのような役割があるんでしょうか?
家を取り壊したり壁や屋根を改修する時や、ケーブルテレビに加入していたのをアンテナ受信に切り替えたいなんて時には意外と邪魔になったりするんですが。
いらなくなった保安器は取り外してしまっても良いんでしょうか?
実は、勝手に取り外すのはNGです。
なぜNGなのか。
今回は、勝手に外してはいけない理由と、保安器が持つ性能や役割について説明していきたいと思います。
カミナリ対策
保安器の一番の役割はカミナリ対策、即ち避雷器としての役割です。
保安器にはアース線が取り付けられるようになっており、カミナリなどによって発生した異常電圧をケーブルから地面に誘導する役割を果たします。
ケーブルテレビや共同アンテナに良く使われる訳は、電柱伝いにケーブルが長距離に渡って張られているため、遠くの落雷の影響もケーブル伝いに受けてしまう可能性があるからです。
もし万が一遠くの電柱に落雷があって、ケーブルを通して異常な電流が発生した場合、保安器がなければそのまま家の中に電流が流れ込んできます。
家の中に張り巡らされているテレビの線に電流が流れ込み、テレビの電波を上げる役割があるブースターという機器は壊れてしまうでしょう。
最悪の場合、それがテレビにまで伝わって、テレビ本体や周辺機器(レコーダーやゲーム機など)も全て故障してしまうようなことも。。。
一般家庭でアンテナ受信をしている場合は、遠くの落雷の影響は受け辛いでしょうし、家にカミナリが直撃したら、いくら保安器があっても保護は不可能ですよね。
保安器の本来の役割は、必要なテレビ電波のみを通して、いらない電波・電流をカットする、加えてカミナリなどの異常電圧を地面に逃がすことなんですね。
工事の責任分担範囲の目印
もう一つの重要な役割が、工事の責任分担範囲を明確にする目印となることです。
ケーブルテレビや共同アンテナの場合、電柱伝いに引っ張ってきたケーブルを家屋に引き込む工事と、家の中のアンテナ設備工事とは別々の業者が行う場合が殆どです。
ケーブルテレビに加入する場合はケーブルテレビ局の専門業者が、共同アンテナへの加入の場合は管理している組合などがお願いしている業者が工事を行うケースが多いでしょう。
ケーブルテレビや共同アンテナは、同じテレビ電波を不特定多数の家屋が共有しているため、間違った工事をすると、他の加入家屋に悪影響を与える可能性があります。
そのため、このようにテレビ電波を共同で受信する設備は、一つの業者が責任をもって工事を行うことが求められるんです。
保安器は、アンテナ線を引き込む屋外工事を行う業者が設置します。
すなわち、保安器までが屋外工事業者の責任で、それ以降は屋内工事業者の責任ということになる訳です。
勝手に取るのはダメ!
解体や改築や増築、テレビの受信方法を共同アンテナから個別のアンテナ受信に切り替えるなど、保安器がいらなくなるケースがあります。
ケーブルテレビの場合は解約すると専門の業者がアンテナ線を取り外しに来ますので、その際に保安器も一緒に取ってしまいます。
それまでこっちで勝手に取ってしまうのは止めましょう。
共同アンテナの場合は一度加入すれば月々の使用料も払っていないケースが多いと思うので、そこまで管理もしっかり行き届いていないでしょう。
連絡先が分からないケースもあると思いますが、必ずどこかが管理をしているはずです。
近隣も同じく共同アンテナを使用している可能性が高いので、お隣さんに聞くなりして、念のため報告を入れておくことをおススメします。
改築や増築に携わる業者でも簡単に取り外すことはできると思いますが、上述したように他の家屋に迷惑をかけてしまう恐れがあるので、ちゃんと許可を得てから取り外すということを頭に入れておきましょう。
先方が許可してくれれば、こちらの工事業者で取り外すのも問題ないと思いますよ。
まとめ
特に共同アンテナ設備は、アナログ放送時代に作られた施設が多く、デジタル放送化によって必ずしもなくてなならない設備ではなくなっています。
デジタル放送になることで、従来のアナログ放送時よりも、キレイにテレビを受信できる範囲が広がっているんです。
ですから、個別でアンテナを設置すれば、共同アンテナに頼らなくても受信できてしまう家屋が結構多いんですよね。
保安器を取ってしまいたくなる場合もあると思いますが、勝手に取るのではなく一度連絡は入れるようにしましょう。
後々トラブルが起こると嫌ですからね。