当サイトでも度々出てきますが、電波の強さを表現する際に「電界」という言葉を良く使います。
地上デジタル放送用のアンテナを購入しようと家電量販店に行くと、商品のパッケージに「強電界地域用」とか平気で書いてあったりするんですよね。
専門家ならまだしも、一般の方からすると突然そんなこと書かれてもよくわからないでしょう。
改めて説明しますと、テレビアンテナの業界では、テレビの電波が強い地域は強電界、弱い地域は弱電界、それなりの地域は中電界という言い方をします。
なんとなく意味は分かりますよね。
ただ、実際にご自身が住んでいる場所が強電界なのか弱電界なのか、わかりますでしょうか?
アンテナの工事をされている方はもちろんですが、室内アンテナでテレビを受信したい人など、一般の方でもお住いの場所がどの電界にあたるのかを知りたい時がありますよね。
今回は、アンテナを設置する場所がどの電界地域にあたるのかを調べる方法をご説明していきたいと思います。
明確な区分けはない
本末転倒かもしれませんが、実は電界地域の明確な区分けはないと言っていいと思います。
某アンテナメーカーの表記では、アンテナでの出力レベルが65dB以上の地域が強電界地域、55dB以上の地域が中電界地域、45dB以上が弱電界地域という表現をしています。
対して、別のメーカーの表記では、アンテナでの受信レベルが80dB以上で強電界地域、70dB以上で中電界地域、60dB以上で弱電界地域としています。
出力レベルと受信レベルでは測る場所が違いますし、受信するアンテナや、そのアンテナを設置する位置に関してもしっかりとした定義がありません。
「だいたいこの位」という程度のニュアンスでしかなく、判断が難しいんです。
それに一般の方からすると、何dBと言われても、測定器も無いですし、測りようがないですよね。
ちなみに、このように地域によって電波の強さを比べるのは地上デジタル放送だけ。
BSデジタル放送やCSデジタル放送は衛星放送なので、宇宙にある人工衛星から電波が飛んできます。
宇宙から見れば北海道でも沖縄でもほとんど大差はないので、電波の強さを比較したりしないんですね。
アンテナのレベルについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
↓こちらです↓
受信エリアの目安をサイトでチェック
A-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)という団体が運営しているサイトで、地上デジタル放送の受信エリアの目安を見ることができます。
放送エリアのめやすの公式ページ → https://tv-area.jp/#/
郵便番号や町名までの住所を入力すると、メインの放送局の受信範囲が地図上に反映されます。
中継局の位置も登録されていて、クリックすることでその中継局の受信範囲もわかるようになる仕組みです。
この範囲内に入っている場所は、基本的にはアンテナでテレビが受信できるという目安になるものですので、中電界地域以上と考えていいでしょう。
中継局によって電波の送信出力が違ったりしますので、これだけでは強電界かどうかの判断は難しいですね。
とにかく電波塔に近ければ近い程、強電界に近づくと思って間違いはありません。
目視でチェック
上記の目安で確認し、後は補足を加えて判断しましょう。
都道府県の県庁所在地にお住まいの方は、メインとなるテレビ塔の出力が高いため、中電界以上の可能性が高いでしょう。
電波塔が目視で見える様な場所であれば、かなり電波が強いと考えられるため、強電界地域と思っていいかもしれません。
あとは、近隣の家屋のアンテナをチェックしてみてください。
壁にそのまま取り付けるような平面アンテナは、従来の屋根についている骨組みのような素子アンテナと比べて性能がやや劣ります。
そういったアンテナが多いということは、性能が若干低くても受信ができるということ。
すなわち、中電界地域以上の可能性が高いと判断できますよね。
逆に素子アンテナしか見当たらず、それどころかかなり大きめの素子アンテナが付いているようなら、弱電界地域の可能性が高まりますね。
ケーブルテレビばかりでアンテナ自体がほとんど無い場合も受信が悪い可能性が高くなります。
これらの状況をチェックしてみて、総合的に判断してみてください。
まとめ
テレビの電波は様々な障害物の影響を受けますし、使用するアンテナの性能によっても左右されてしまうため、確実に視聴できるかどうかを調べるには実際にアンテナを使って受信してみるしか方法はありません。
強電界地域だからといって、必ず受信できるとは限らないんです。
逆を言うと弱電界地域だからと言って、アンテナでの受信が出来ないわけではありません。
ブースターなどを駆使すれば、全国的にも殆どの地域でアンテナ受信は可能です。
ただし、室内アンテナは一気に受信感度が落ちてしまうので、十分にリスクを加味して購入を検討しましょう。
コメント
放送エリアのめやすの公式ページで示されるエリアは法令で定める「放送区域」です。
地上高10mの高さで電界強度が1mV/m以上得られる区域として算出された物です。
デシベル変換すると20log(1000)=60dBμV/m と成ります。(弱電界と区域外の境)
ここで14素子のアンテナを設置して測定ケーブル10m(5C-FB)で計算すると、
測定器(TV)に入る電波の強さは約45.3~43.4dBμV と成ります。
計算値より測定値が下回る時は地形やビル陰により遮蔽されている可能性が有ります。
その時は受信点の位置や高さを変えるか中継局を変えるかの措置が必要と成ります。