テレビ電波のレベルを上げるブースター。
今ではほとんどのお宅のテレビ設備において、標準的に使用されるようになって来ました。
リビングだけじゃなくキッチンや寝室、子供部屋など、テレビを見る箇所が増えれば増えるほど、電波を分配しなければならないのでレベルが落ちていきます。
レベルが落ちすぎるとテレビが映らなくなってしまうので、それを補うブースターという機械が必要となるんですね。
ブースターは単純にレベルを上げるだけではなく、BSアンテナへの電源の供給という役割も担っています。
そんな重要な役割を担うブースターですが、ただケーブルを接続して何の調整もしないままでは、逆にテレビ電波の画像を悪くする可能性があるんです。
設置状況によって受信環境は様々です。
ブースターの性能にも色々ありますので、設置してお終いではなく適切に調整しましょう。
入力ATTの使用
ブースターを調整する上でまず覚えていただきたいのは「定格出力」という言葉です。
定格出力とは、ブースターから電波を出力する時の適正なレベルのことで、この数値を超えてしまうと、レベルが高すぎて逆に映像に悪影響を与えてしまいます。
定格出力についての詳細は、こちらの記事を見てみてください。
↓こちらです↓
ブースターを使用する場合は、まずこの定格出力を超えないことが重要といえます。
そこで、調整に最も利用されるのが「入力ATT」です。
入力アッテネータと呼びます。
日本語に直すと入力の「減衰器」ですね、ちょっとわかりづらいですが。
ブースターに入ってくるレベルを強制的に下げる機能と思ってください。
現在のブースターにはほとんどこの機能が付いていると思います。
スイッチになっていて、0と-10dBの切り替えが多いですね。
例えば、利得40dB、定格出力110dBのブースターがあったとします。
利得とは、このブースターを使うことでレベルがどのくらい上がるかを示す数値。
定格出力は前述した出力レベルの適正値ですね。
このブースターへの入力レベルが80dBだった場合、単純に利得の40dBを足すと出力は120dBとなってしまい、定格出力を超えてしまいます。
・【80dB+40dB=120dB】 定格出力を超える
そんな時、この入力ATTのスイッチを-10に切り替えると、入力レベルが80dBから70dBに強制的に下がります。
入力が70dBなら、40dBを足しても110dBとなり、定格出力内に収まりますよね。
・【80dB-10dB+40dB=110dB】 定格出力を超えない
このように、ブースターがMAXのパフォーマンスを発揮しても定格出力を超えないように、まずは入力のレベルを調整しましょう。
ゲインコントロールで調整する
もう一つの調整機能がゲインコントロールです。
簡単に言うとアップするレベルを調整するツマミです。
だいたい0から10までの間を調整できるツマミになっていて、利得を10dB程度調整することが出来ます。
利得が40dBのブースターだった場合、ツマミのMAXが40dB、MINが30dBになると考えてください。
利得40dB、定格出力110dBで、入力レベルが85dBだった場合、入力ATTを使って10dB引き下げても入力レベルは75dBです。
・【85dB-10dB+40dB=115dB】 定格出力を超える
このままでは定格出力を超えてしまうので、ゲインコントロールでツマミを半分辺りまで絞り、利得を40dBから35dBくらいにまで調整します。
すると、75dB+35dBとなり、出力は110dBで定格出力内に収まりました。
・【85dB-10dB+40dB-5dB=110dB】 定格出力を超えない
このように、入力ATTを使っても定格出力を超えてしまう場合に、ゲインコントロールで利得自体を落としてやることで、定格出力内に収めるよう調整するんですね。
利得切替スイッチが付いたブースターもある
最近では、3段階に利得を切り替えることができるという機能の付いたブースターが発売されています。
地上デジタル放送のUHF帯域の利得を27dB、32dB、42dBの3種類にスイッチ一つで切り替えることができます。
国内メーカーの日本アンテナが発売しているこの商品です。
↓こちらです↓
テレビ電波の強さは地域によって様々で、強い地域を強電界地域、弱い地域を弱電界地域、その間を中電界地域と言ったりします。
本来は、それらの地域によってブースターの種類を変えたりするんですが、これであれば弱電界地域はMAXの42dB、強電界地域はMINの27dBなど、1台で対応できるのは助かりますね。
もちろん入力ATTやゲインコントロールも付いていますので、調整の幅も広がります。
設置する場所が強電界地域なのか弱電界地域なのかを知りたい場合は、判断の仕方について別途記事を書いてますので覗いてみてください。
↓こちらです↓
まとめ
大体のブースターは、入力ATTとゲインコントロールというこの二つの機能で20dB程度の調整が可能となっています。
特殊な条件を除き、20dBの調整が出来れば、ブースターの定格出力を超えずに出力することが出来ると思います。
最近では定格出力を超えてしまうケースが増えていることから、ブースターの入力ATTを-10に運用した状態で出荷するメーカーも多いようです。
特に、全国どこでも安定したレベルが受信できるBSアンテナ側は、入力レベルが高くなる傾向にあるため、入力ATTの使用頻度が高いですね。