テレビ電波のレベル計算の仕方 実践編

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テレビのレベル計算の仕方 基礎編として、レベルの計算を行う前段階の3つの知識について記事にしました。

今回は、この基礎編をもととして実際にレベルの計算をしていきます。

基礎編をまだご覧になっていない方は、こちらの記事から先に見ていただくことをお勧めいたします。

↓こちらです↓

テレビ電波のレベル計算方法をご存知でしょうか。テレビ設備の設計をされる方などは、計算方法を知っているとより図面の精度が増すと思いますよ。基礎編としてレベル計算の前段階における知識を解説しています。

簡単なテレビ系統図を考えてみましたので、こちらの図面でレベル計算を始めましょう。

テレビ機器のシンボルマークが良くわからない方は、別途記事を書いていますので、事前に確認しておきましょう。

↓こちらです↓

建築図面に使用されるテレビ関連機器のシンボルマークってご存知でしょうか。テレビ関係の工事に携る方はもちろんですが、一般の方でもお家のテレビ図面には記号が載ってきます。新築を建てる時などは知っているとわかり易いですよ。

1.基礎項目決定

測定する周波数4K8K衛星放送の最高周波数3224MHz

ブースターは30dB型あたりを想定して、定格出力100dBで設定。

後はどこのテレビコンセント最終端末と考えるかですが、図面のAとB、どちらがふさわしいかわかりますか?

AよりもBの方が分配器を多く経由しますし通過するケーブルも長いため、よりレベルが落ちやすいのはB。

今回はBのテレビ端子を最終端末として、レベルがどのくらい落ちるのかを計算していきます。

2.定格出力100dBから引き算

定格出力として設定した100dBから、どんどん引き算をしていきます。

まずは最初に通過する3分配器です。

使用するメーカーの3分配器のレベル減衰量を調べます。

商品の取扱説明書やカタログなどを見ると、機器の性能表が記載されていますので、そこの分配損失という部分をチェックしてください。

~770MHz~2610MHz~3224MHz
2分配器456.5
3分配器6910.5
4分配器7.51011.5

この表は、だいたいの分配損失を記載した表です(正確には各メーカーの性能表をご覧ください)

どのメーカーの商品も概ね同じくらいの減衰量ですので、そこまで厳密に考えなくても大丈夫です。

3分配器の3224MHzの分配損失は10.5dB。

すなわち、この3分配器を通ることで、レベルは10.5dBも落ちてしまうということ。

定格出力100-10.5で、残り89.5dBということになります。

3.その他の分配器も計算

その後も同じように分配損失を引いていきます。

2分配器の3224MHzの分配損失は6.5dB。

4分配器の3224MHzの分配損失は11.5dB。

テレビ端子は挿入損失という項目をチェック。

一般的なテレビ端子は殆どレベルが落ちません、今回は1dBで計算していきます(詳しくは各メーカーの表記をご覧ください)

3分配器分を引いた89.5dBから-6.5-11.5-1で、計70.5dBということになりました。

4.同軸損失も計算

機器だけではなく、同軸ケーブル通過損失も計算します。

~710MHz~2610MHz~3224MHz
S-5C-FB190400450

こちらもおおよその数値ですので、正確には各メーカーの表を参考にお願いします。

この数値は同軸ケーブル1000mを基準とした減衰量ですので、1mあたりは1/1000で計算。

3224MHzの1mあたりの減衰量0.45×ケーブル長です。

正確なケーブルの長さがわかれば尚良いですが、今回は仮に30mで計算します。

30×0.45で13.5dBが今回の損失。

したがって70.5ー13.5で、最終的なレベルは57dBとなります。

5.最終分析

今回のレベル計算の結果、最終端末レベルは3224MHzで57dBとなりました。

基礎編で述べたように、受信に必要な最低の端末レベルは55dB。

したがって、上記のテレビ系統はぎりぎり受信が可能な設計であることがわかりました。

ただし、実際にはブースターの出力は定格出力を下回る場合も多く、多少の余裕は見た方が間違いはありません。

おススメとしては、もう少し定格出力の高い35dB型あたりの商品にブースターをグレードアップさせた方がより安心ではないかと考えます。

仮に35dB型ブースターの定格出力が105dBだとすると、最終端末レベルは5dB上がって62dB。

この程度の余裕があれば、安定した受信ができる良い設計になるのではないかと思いますね。

まとめ

上記程度のレベル計算ができるようになると、ほとんどの建物において活用が可能になってきます。

分配器が増えても、引き算を繰り返すだけで最終端末レベルが出てきますからね。

新築のレベル計算をする分には、この程度知っているだけでも随分と図面の精度が高くなるでしょう。

建物の弱電設計をされている方には是非覚えてもらいたいところです。

また、実際に工事をする電気工事店の方にとってもかなり役に立つと思います。

レベルの計算方法を知っていると、新築工事の検査時やアフターメンテナンスなどの際、不具合を見抜くことが容易にできるようになってきます。

測定器で調べてみて、「本来80dB程度はあるはずなのに、60dBしかないのはおかしい」とかね。

簡単な系統図をもとに何度か計算してみれば、すぐに慣れると思いますので、是非トライしてみてください。

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