分配器や分岐器の説明書などを見ると、性能が書いてあるスペック表が載っています。
そこにはテレビ電波のレベルの落ち方などが書いてあるんですが、専門用語の意味が解らなくて、項目を理解されていない方が大半じゃないかと思います。
分配損失や挿入損失、端子間結合損失なんて言われても何が違うかわかりませんよね。
今回は、そんな分配器と分岐器のスペック表に書いてある各項目について説明したいと思います。
分配器
まずは分配器です。
分配器とは、テレビの電波を2つに分けてあげる機械。
分配数によってレベルの落ち方が増えていき、それぞれ均等にレベルが落ちていくところが特徴です。
スペック表に書かれている項目は概ね2つ。
分配損失
分配損失とは、その名の通り分配することによって発生するレベルの損失のことを言います。
図のように入力から出力までの間にどの程度レベルが落ちるのかを、周波数ごとに数値で記載しています。
テレビの電波は基本的に周波数が高い方がレベルの落ち方が大きくなるため、地上デジタル放送よりもBSデジタル放送。
現在のテレビ放送の中では最も高周波な新4K8K衛星放送が、一番レベルの落ち方が激しいですね。
入力(IN)から出力(OUT)にかけて、片方が4dB落ちればもう一方も4dB落ちる。
このように均等にレベルが落ちるのが分配器の分配損失です。
レベルをあまり落とさずに出力できる方が、より性能が高いと言えますね。
端子間結合損失
端子間結合損失とは、入力から出力ではなく、出力から出力の間の損失のことを言います。
視聴のために必要なのは入力から出力の部分であって、出力から出力の繋ぎというのは、通常は視聴のために使用することはありません。
この端子間結合損失で重要なのは、逆流してくる電波がどのくらい減らせられるのかということです。
すなわち、分配損失とは逆で、損失が大きければ大きいほど良いということ。
テレビを観る時に大切なのは、観たい放送のテレビ電波が強いことと、障害となりかねない不必要な電波が弱いことなんですね。
分岐器
次に分岐器です。
分岐器は、見た目は分配器とほとんど同じですが、レベルの落ち方がちょっと違います。
分岐側(BL)は大きくレベルが落ちますが、通常の出力側(OUT)はレベルの落ちが少なくなるという特徴があるんですね。
スペック表に書かれている項目は3つです。
挿入損失
挿入損失とは、分岐器における入力から出力の間の損失を言います。
分配器のように分配をするわけではなく、単に機器の間を通過するという表現がしっくりくるかもしれません。
通過するだけですから、レベルの落ち方は比較的少なく済むということですね。
もちろんレベルの減衰量が小さいほど性能が高いと言えます。
結合損失
結合損失とは、入力から分岐側へ枝分かれする時のレベルの減衰量を表します。
均等に分配する分配損失とは異なり、正規のラインから1本枝分かれを作ることになるため、レベルの落ち方が激しいのが特徴です。
分岐器というのは、分岐側のレベル低下を条件に、出力側のレベルの減少をできる限り抑えるという機器なんですね。
ちなみに分岐する数が多ければ多いほど、出力側と分岐側の減衰量の差が大きくなります。
メインとなるテレビ電波のレベルをできるだけ保ちながら、たくさんの箇所に電波を分けたい時に使われる機器です。
逆接合損失
逆結合損失というのは、出力側と分岐側の間の損失のことを言います。
分配器にあった端子間結合損失と同様に、視聴においては使用することはほぼありません。
電波の逆流側にあたるため、抵抗が大きい方が雑音のカットに繋がります。
数字が大きければ大きいほど高性能ということですね。
まとめ
このように、分配器と分岐器によって損失の言い方がそれぞれ違ってきます。
それぞれの項目がどこの損失を表しているのかがわからないと、レベルの計算もできませんよね。
国内メーカー品はある程度規格に準じているため性能に大きな差はないと思いますが、細かな性能はこのような損失の量でチェックすることが可能です。
どのメーカーの製品を使ったら良いか迷ったら、これらの項目を比較してみてはいかがでしょうか。