アナログ放送からデジタル放送への切り替えにあたり、携帯電話やカーナビなどの移動体受信用として開発されたワンセグ放送。
外出先でも気軽にテレビが見られることで人気を博しました。
最近ではあまり名前を聞かなくなった気がしますが、実はいざという時に役に立つ放送なんです。
でも、なぜ「ワンセグ」放送と呼ばれるんでしょうか?
また、対照的なものとして「フルセグ」という言葉もありますよね。
ワンセグとフルセグの違いは一体何なんでしょうね。
1つのセグメントを使用するからワンセグ
地上デジタル放送が使用している周波数の範囲は、13個のブロックに分けることが出来ます。
その1つ1つのブロックの名前を「セグメント」と呼ぶんです。
13個中、1つのセグメントで構成される放送が「ワンセグ放送」となります。
それに対して、残りの12セグメントを使用して構成される放送が「フルセグ放送」。
残りの12個のセグメントをフルで使用するのでフルセグですね。
フルセグとは、言い換えると家で視聴しているいつもの地上デジタル放送のことです。
ですから、皆さんは普段フルセグ放送を見ているってことになりますね。
単純計算でフルセグはワンセグの12倍の容量があり、12倍キレイということができます。
カーナビなどの購入をお考えの際は、内臓されている地上デジタル放送チューナーが「ワンセグ」用なのか「フルセグ」用なのかを確認してから購入すると良いでしょう。
移動体受信に強い
容量は小さいですが、ワンセグ放送には大きなメリットがあります。
それが移動体受信に適しているということ。
従来のアナログ放送は、受信の悪さに比例して映像が乱れていくという性質を持っていましたので、車載用テレビやポータブルテレビなど、移動しながら視聴するには不向きでした。
カーテレビなんて動き出したらすぐ砂嵐みたいな画像になって、見れたもんじゃなかったですよね。
対してデジタル放送は、一定の受信感度が得られれば綺麗に映ることや、一度壊れても復元しようとする性質などから、移動体受信にはもってこいです。
更に、12分の1の幅で送信するワンセグ放送はより復元能力に長けています。
ワンセグとフルセグの二つのチューナーを内蔵しているカーナビをお使いの方はわかると思いますが、受信環境が良い場所を走っている間はフルセグ放送を映し、山間部などの受信環境が悪い場所を走り出すとワンセグに切り替わったりしませんか?
フルセグ放送と比べても、ワンセグ放送はより移動体受信に適しているといえるでしょう。
自然災害時の強い味方
もう一つワンセグの大切なメリットともいえるのが、自然災害時での役割です。
大地震や津波など、自然災害が起きると、皆さんスマホで連絡を取ろうと思いますよね。
事実、東日本大震災時は、一斉に電話やメールをすることによる通信ダウンや、ビルの倒壊などで通信のアンテナ基地が破壊されることによる通信不良が相次ぎました。
そんな時ワンセグは強いんです。
停電によって家のテレビさえ映らない状態でも、ワンセグは通信回線を使いませんので、充電さえあればテレビが観れるんですよね。
もちろん送信所(東京ならスカイツリー)が倒壊して、テレビ電波すら飛ばせないとなれば意味はないですけど。
リアルタイムの番組が視聴できますので、ニュースやデータ放送も確認できます。
昔は災害時といえばラジオでしたが、映像があった方がより情報を得られるでしょう。
ワンセグ放送のデメリットとは
移動体受信に長けるというメリットはあるものの、やはりフルセグの12分の1という幅での放送ですからデメリットもあります。
それが画像の粗さです。
画面が小さいスマホで比べるとあまりよくわかりませんが、タブレット程度のサイズであれば十分に差が分かるレベル。
家にある大型テレビなどのサイズでは、正直言ってワンセグ放送を観るのは厳しいでしょう。
やはり携帯電話やカーナビなど、画面が小さい物で視聴するための放送と言えますね。
まとめ
一時期人気のあったワンセグ放送ですが、最近ではあまり名前も聞かなくなりました。
その大きな理由は、通信を使った動画配信の台頭ですね。
技術の進歩によりスマートフォンが携帯にとって変わり、YouTubeやニコニコ動画などの映像や、hulu(フールー)やNetfrix(ネットフリックス)といった動画配信サービスなど、気軽に出先で映像が楽しめるようになりました。
ワンセグ放送では、映像の綺麗さでも動画配信サービスに太刀打ちできない状況です。
それでも地上デジタル放送がリアルタイムで観られるというメリットがあるのですが、近い将来NHKがネットで地上デジタル放送の同時配信(リアルタイムでの視聴が可能)を行うとの話が出ています。
災害時の活躍を考えると、このまま消えていくのはもったいない気がするんですけどね。
ちなみに最近になって、スマホやタブレットでフルセグのテレビが視聴できるポータブルチューナーが発売されてきました。
こちらであれば画像も綺麗ですし、動画配信にも勝てるかも。
気になる方はこちらの記事を見てみてください。
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